奥穂高岳・西穂高岳縦走
一般山岳ルート日本最難関(だそうだ)
主なピーク:奥穂高岳(3190m) ジャンダルム(3163m) 西穂高岳(2909m)
目標:「ジャンダルムでラーメン食うぞ!」
「Oh〜あこがれの峰、ジャンダルムよ!」
無体力トレッカーRIKI、ついにジャンダルムでラーメンを食す。
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<第2日> 穂高岳山荘 ⇒ 奥穂高岳 ⇒ (魔の縦走路に入る。馬の背、ロバ耳、ジャンダルム、天狗頭、間ノ岳)
⇒西穂高岳 ⇒ ピラミッドピーク ⇒ 西穂独標 ⇒ 西穂山荘
9月3日(金) 穂高岳山荘5:10 ⇒ 5:50奥穂高岳 6:30 ⇒ 8:20ジャンダルム ⇒ 11:40天狗のコル ⇒ 12:30天狗頭 ⇒ 13:00間天のコル ⇒ 13:35間ノ岳 ⇒15:30西穂高岳 ⇒ 17:00独標 ⇒ 18:00西穂山荘 標高差:約-825m (下り:1265m 登り:440m) 9月4日(土) 西穂山荘よりロープウェイで新穂高温泉下山(平湯で温泉、高山で焼肉) 大阪に戻る |
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奥穂−西穂 縦走路 手前の稜線が吊尾根、その右・涸沢カール、左・岳沢(上高地方面) |
穂高岳山荘で十分休養、朝4時には起きて準備にはいる。山荘前はご来光を拝もうとする人が何人か集まっている。朝食はキャンセルしてあるので5時過ぎにおもむろに出発する。雑誌などでは大げさに「大変だ」と言っている最初のハシゴ、こんなものでビビってたら西穂まで縦走なんかできっこない。奥穂頂上に向かってる途中で日の出を迎える。みるみるまわりが朱色に染まりだす。東の空は真っ赤、西の空は紺色、荘厳なのである。8月に登頂を拒まれた槍が顔を出し始める。お月さまがまだ輝いている。
モルゲンロート、槍が顔を出す。 | 稜線を見上げるとお月様が。 |
朝一なので身体が眠い。40分ほどでなんなく奥穂高岳に登頂!標高3190m、北アルプス最高峰、日本第3位のピークに遂に立つ。(ちなみに第2位は、南アルプス・北岳・3192m)
空は快晴!360度の大展望が広がる。遂に穂高に登っちゃったよ。数年前までは、自分に登れるのかな〜なんて思ってた頃が懐かしい。しかもこれから今日はまだまだ難易度が高いルートにチャレンジしようとしている。経験が積み重なったもんだな〜、感慨深いのである。
奥穂高岳山頂
奥穂高岳山頂 3190m 日本第3位のピーク |
奥穂山頂より涸沢方面 涸沢岳、北穂高、遠くに槍ヶ岳 |
奥穂山頂からのジャンダルム 今日はあのピークの上で朝食だ! |
しばし休憩し、呼吸を整えて、じわりと西穂への禁断の稜線に足を踏み入れる。「覚悟を決める」というのは大げさだろうか?日本第3位のピークは本日は単なる通過点のひとつにすぎない。さあ、ここからが本番!まず現れる第1関門は「馬の背」の恐怖の下降である。
馬の背
奥穂からなだらかそうな石クズの稜線を進む。平和な時はわずか5分ほど。すぐにこの馬の背が現れる。「なんじゃ!これは!」写真を見れば余計な説明は不要だが、きわめて狭い、左右は1500mのジェットスライダーのごとく地獄の底まで切れ落ちている、そのナイフリッジを約25mほど下るのだ。実にきわどい。足の置き場に迷って、じっと下を覗いていると、その視界にはおよそ1500m下の景色がイヤでも飛び込んでくる。RIKIは自分では決して高所恐怖症では無いと思っていたが、さすがに恐怖心で頭がクラクラしてきた。前方の広場にはすでに下り終わった人が休憩しており、おもわずその人たちに向かって「コワー!」と叫ぶ。とにかくどこに足を置けばよいのかわからないのだ。途中恐怖で足が動かず涙が出てきそうであった。この恐怖は剱の「カニの横ばい」の比ではない。
シャレにならない恐怖のナイフリッジ「馬の背」 矢印はハイカー。 高いところは平気なRIKIもさすがに涙が。。。 |
馬の背を下から見たところ。 下から見ればなんてことない。 上のカップルはザイル確保していた。 |
ロバの耳
馬の背を終えてほっとする。先に下りた人が「ご苦労様」と声をかけてくれる。「いや〜怖かった。。クラクラ目まいがしてもうた」「下を見すぎてたのがよくなっかたね。吸い込まれそうだよね」。よく見れば昨日一緒に夕食をとった人だ。名前はモリヤさん。まだ心臓がバクバクしている。興奮がなかなかさめない。ぐいっと水分補給してヨレヨレと次の難関ロバの耳に向かう。
ロバ耳はジャンダルムの手前に立ちはだかる岩塊で、いったん恐ろしいほどの傾斜の斜面を下り、再度この岩塊に取り付く。落ち着いていればなんてことないが、ここも油断すると命は無い。馬の背の通過でほっとしているので、気をつけなければいけない。一応鎖があるが、必要最小限。力技でぐいっと岩登りをしなければならない箇所も多数。
ロバ耳登攀途中のトラバース 下は断崖絶壁。鎖があって助かる。 |
ロバ耳を乗越すとジャンが間近に | 笠ヶ岳がずっと見守ってくれる。 |
ジャンダルム
ロバ耳を超え、また急な岩を下っていよいよ次はジャンダルムだ。「急な岩を下って」って簡単に書いているが、説明を端折っている箇所も決して気が抜けないのだ。普通だったら鎖があって当たり前と思われるところにも何も無い。ただし、ルートを示すマークはわりと明瞭。
ジャンダルムとは仏語で「憲兵」の意味。奥穂が王様とすれば、それを守っている孤高の兵ということだ。
ジャンを間近にして見とれていると、すでに頂上に登っている人がこっちに向かって手をふてくれている。こういうのっていいなあ。このコースではみな「戦友」みたいなものだ。ロバ耳をどうやって下ったかぜんぜん記憶にない。緊張感の連続で記憶力が飛んでしまっている。「記憶」という余計な作業を脳みそが放棄しているのだ。
いよいよジャンに近づく。正面は断崖絶壁なのでザイルが無いと危険で登れない。ジャンは岳沢側をグルッとトラバースし、反対側から簡単に登れる。トラバースといっても、足の幅しかないところもあり、後ろは絶壁。しかも鎖なんてシャレたものは無い。
西穂側に回りこんで、そこから登ること5分ほど、8:20遂に憧れのピーク、ジャンダルム(3163m)登頂!
ジャンダルム直下。矢印は 直登をトライしているクライマー |
ジャンの頂上!360度さえぎる ものなし。後ろは奥穂。 |
念願のジャンでラーメン 遠くに槍ヶ岳♪至福の瞬間 |
さっそくラーメンを作って食べる。「お、お、おれ、ジャンの上で、ら、らーめん食ってるぅ」感激なのである。最高の味なのである。景色がすごいのである。奥穂・槍・笠ヶ岳、眼下には上高地、大正池も見えるよ。穂高岳山荘も見えてる。快晴!快適!快食!
ここで、若人2名が登ってくる。「おーやったぁ」二人で感激しているのだ。写真をお互い撮ってあげる。聞けば、今朝北穂高小屋から縦走してきたと。快足である。感激ぶりが爽やかな今時めずらしい青年たちなのである。
さてさて大間違いは、本ルートの最難関はここで終わり、と思ってしまったところ。
ガイドブックも難関は「馬の背」と「ロバの耳」だけのような書き方をしてあったため、
ジャンダルムが終了した時点ですっかり終わった気になってしまったのである。
アホやな俺は。。